「文部科学省GP採択シンポジウム」開催報告
シンポジウムの内容と成果
7月26日(土)13時30分より、名古屋学院大学名古屋キャンパス白鳥学舎にて、文部科学省GP採択シンポジウム「現代の若者気質を活かす教育」が開催され、161名の参加がありました。(うち、
大学・短大等関係36名、中学・高等学校関係2名、一般36名、本学教職員44名、本学学生43名)。なお、当日の模様は、NPO法人CCC-TIESのウエブサイトからライブ配信されました。
基調講演では、お茶の水女子大学大学院の耳塚寛明氏、独立行政法人労働政策研究・研修機構の小杉礼子氏より報告が行われました。耳塚氏からは高校と大学の接続という「入口」の視点から、小杉氏からは大学生の就職という「出口」の視点から、現代の大学生に関する状況や課題等について、研究成果に基づく詳細な説明がありました。その後のトークセッションでは、文部科学省GPプログラムに採択された本学取組を具体的なケースとして、現代の若者気質を活かす教育はどうあるべきかについて、耳塚氏、小杉氏と担当教員との間で議論を深めることができました。
また、ポスターセッションも同時開催され、来場者と担当者の質疑応答を通して、本学のGP採択取組への理解を深めていただくことができました。
来場者アンケート(抜粋)
アンケート結果も、シンポジウムに対する来場者の評価が総じて肯定的なことを示しており、「現代の若者気質に応える効果的な教育方法や姿勢を考える」というシンポジウムの目的は十分に達成できたと考えています。
シンポジウムの評価
- シンポジウムのテーマ:良い(69%)、やや良い(18%)、普通(12%)
- シンポジウムの構成 :良い(54%)、やや良い(28%)、普通(15%)
- 本学のGPについて :よく理解できた(42%)、まあまあ理解できた(58%)
自由記述
- GPの採択取組から非常にたくさんのインスピレーションとアイデアを頂いた。特にCCSについて知ることができたのは大きかった(大学関係)
- 高校までの教育の実態、高校生の姿について改めて確認できた。同時にそうした道筋をたどってきた大学生に対してどのように対面したらよいかヒントが得られた(大学関係)。
- 特色GP、現代GP、学生支援GPの具体的例の概要が聞けてよかった。(大学関係)。
- 学生の入口から出口を考えた構成になっており、今の学生についてよくわかった。(企業関係)。
- 今日的教育の問題を知ることができた(一般)。
- 大学生としてやらないといけないこと、就職について考えるきっかけになった(学生)。
今後の事業への発展
シンポジウムの基調講演、トークセッション、来場者の皆様からの声は、教職員のFD/SDとしても非常に有意義でした。この経験を広く教職員で共有し、特色GP、現代GP、学生支援GPの採択事業を推進するとともに、進捗状況を積極的に情報提供していきます。
基調講演1
大学教育の行方 −変貌する若者・高校と求められる能力の狭間で−
お茶の水女子大学大学院 人間文化創成科学研究科教授 耳塚寛明氏
日本の高校教育の質を維持する上で貢献してきたメカニズム、つまり「学習指導要領」と「大学入試」という両輪はもはや機能していない。そこで、高校教育の質を保証する第三のシステムをうまくつくらなければ、大学教育はその入口部分で大きな困難を抱え続けることになろう。もう一つ、大学初年時教育においては、「生徒(知の効率的受容者)」から「学生(知の生産者)」への変身を促すことが重要な課題であろう。
基調講演2
「就職」から見た現代の大学生の課題
独立行政法人労働政策研究・研修機構 統括研究員 小杉礼子氏
現代の大学生の就職活動は、インターネット情報に頼りすぎ、企業人・職場訪問による情報収集が大幅に減ったことが課題。一方、企業が採用したい人物像は、昔と変わらず、行動力、協調性、バランス感覚のある学生。要するに、課題解決能力やコミュニケーション能力を重視しているが、そういう能力はゼミや課題解決型の学習、あるいはサークル活動やアルバイトなど自ら動く経験で身につくもの。実際に動くことが大切で、それが就職にも影響するということを学生には認識してほしい。
トークセッション第一部
名古屋学院大学におけるIT利用、フィールドワーク、学生ケアについて
−特色GP、現代GP、学生支援GPの取組を中心に−
名古屋学院大学 経済学部准教授 黒田知宏
本学は学生と教員と事務局を結ぶネットワーク「CCS(キャンパス・コミュニケーション・システム)」上に「自学自習システム」を構築している。学生は教員が作成した1万題を超える自学自習問題をパソコンや携帯電話を通して解くことができる。経済学部では、自学自習システムを通じて、入門科目の標準化や教育の質の保証を図る取組みを実施しており、特色GPとして採択された。現在は精選問題を再編集して解説テキスト化することを進めている。また、e-ラーニングと対面授業を組み合わせたブレンデッド・ラーニングという教育手法の実践にも取り組んでいる。
名古屋学院大学 経済学部教授 水野晶夫
現代GPに採択された本学の地域貢献プログラムは、地域との協働、地域への貢献を通じて学生が社会人基礎力を養成し、実践力を身に付けることを目的としている。その一環として、学生はカフェの運営というビジネスを通じてまちの利害関係者となり、思いやり・助け合い、コミュニケーションの大切さ等を学んでいる。そういう学生たちの真摯な姿が地域に伝播し、地域の活性化につながれば、それが我々の成果と言えよう。
名古屋学院大学 キャリアセンター長 三井 哲
学生支援について、今回のGPでは「自分発見型」学生支援ネットという方向性を打ち出した。これは、①キャリア形成支援をプラットフォームに、学生支援の全学的なネットワークを構築 ②自分発見を通して、「将来志向」と「ケア重視」の支援プログラムを用意 ③「自分発見型」という学生支援の新たなスタイルを創造、というものだ。そのために、CCSの拡充、クラスアドバイザー制導入、正規授業科目「キャリアデザイン」の設置、というインフラを用意し進めている。
トークセッション第二部
お茶の水女子大学大学院 人間文化創成科学研究科教授 耳塚寛明氏
現代の高校生は偏った知識しか持っておらず、いわゆる教養が身についていないのが問題だと思う。幅広く無駄なことを学ぶ機会を与えなければ、大学に来ても伸びないだろう。また、学習の仕方が身についていない学生も多いので、丁寧に教える一方で、自律的に学習できる場を設けることが必要。そういう意味で、少人数のゼミナールを経験した学生は、吸収型でなく、指示されなくても自分で調べるなど自律的な行動がとれるようになる。
独立行政法人労働政策研究・研修機構 統括研究員 小杉礼子氏
自分が何をしたいかを早く決めることが決して良いことではない。そのときどきの状況がきちんと判断でき、その中で次の一歩を考える力をつけさせることこそがキャリア支援と言えよう。ただ、社会人基礎力も昔は自然に身についたものだが、今や改めて教育の必要がある。また、就業への移行がうまくできない学生も多い。大人の側から積極的に介入して話を聞いたり話を引き出すことも必要な時代になっていると感じる。
名古屋学院大学 経済学部教授 古池嘉和
地域創成プログラムは「場」をつくることが大切である。本学では、例えば商店街という地域と共有できる場で学生教育を実践してきた。そのような場で教育することで「社会人基礎力」
を身につけることができる。そこでは、知識偏重ではない、実践的な課題解決能力を評価することで、伸びる学生が実際にいることがわかった。加えて、正規のカリキュラム以外にも、サークルなど多様な学びの場と機会を提供することも大切であり、それぞれの学生にとって「居心地のいい場」を選択できる、多様性のあるキャンパス・コミュニティを形成すべきである。
名古屋学院大学 経済学部教授 児島完二
学習習慣が局所化しているということだが、現代の学生は、学力以前に知識が欠けているのではないか。もしかして、勉強の仕方がわからないのではないか。しかし、CCSの自学自習システムを使うと、学生は面白そうに勉強する。学生のモチベーションは十人十色だが、興味を持てば参加するということ。ならば、学生と共に実践しながら何か生み出していくことはできないか。そういう我々のアプローチの仕方が重要だと考えている。
名古屋学院大学 学生部長 小林甲一
「キャリア」と聞くと、食いついてくる学生と逃げ出す学生の両極端に分かれる。それで、キャリアセンターには来なくても、インターンシップや留学を通してどこかで引っかかっている学生についてはしっかり掴んで将来につないでいきたい。ただ、様々な手法で学生のモチベーションを高めたいと願う一方で、「無駄」とか「自由」という、昔から言われる大学生活の良さも見失ってほしくないと思っている。